誹謗中傷されたら警察に相談!名誉毀損の成立条件とできる対策
ネット上で誹謗中傷されたときは、まず「警察」に相談することをおすすめします。
ネットは秘匿性の高い世界ですから、誹謗中傷をそのままにしていると内容が過激になる可能性があるのです。また、内容が拡散されたことで関係のなかった第三者から嫌がらせを受けることも考えられます。
では、警察に相談することどうなるのかですが、投稿者を「名誉毀損」で訴えることが可能です。
今回は、ネット上の誹謗中傷だけで警察に相談してもいいのか、名誉毀損の成立条件と合わせてお届けします。また、警察に相談する前にできる誹謗中傷の対策にも触れていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.ネットの誹謗中傷だけで警察は動けるの?
ネットを中心としたいわゆる「サイバー犯罪」が年々増加傾向にある現在、警察では専門部署を配置するなどして対策に力を入れています。では、実際にネットの書き込み(誹謗中傷)だけで警察が動けるのかご説明しましょう。
名誉毀損が認められれば警察は動ける
ネット上の口コミや投稿に誹謗中傷が書き込まれたときは、「名誉毀損」の成立する可能性があります。
名誉毀損とは「公的な空間で相手の社会的な地位・評価を落とすような行為を行う」ことです。例えば、ネット上(公的な空間)で相手の恥ずかしい過去(社会的な地位・評価を落とす)を暴露するなどがこれに該当します。
名誉毀損は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」も考えられる刑事罰の一種です。その為、誹謗中傷により名誉毀損されたときには警察は動くことができます。
誹謗中傷だけでは警察が動けないこともある
ネット上での誹謗中傷で成立する名誉毀損はあくまで「親告罪」です。
親告罪とは「被害者側による告訴(訴えている)」で成立する罪のことで、反対に被害者側が訴えないと罪にはなりません。つまり、誹謗中傷されたら被害者自らが警察に相談しないと捜査してくれないのです。
また、たとえ被害者自らが告訴状を提出しても、以下の場合には警察で不受理となる可能性があります。
- 告訴内容から犯罪性がうかがえない
- 告訴内容に対して十分な証拠がない
- 告訴期間(名誉毀損は3年)が経過している
とくにネット関係のサイバー犯罪では専門知識が求められるため、警察としても慎重に対処します。地域の警察(交番)では対処できないことも多いので、「サイバー犯罪相談窓口」に相談するのがおすすめです。
都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口等一覧はこちら
2.ネットの誹謗中傷による名誉毀損の成立条件
ネット上の誹謗中傷による名誉毀損は親告罪とのことですが、ただ告訴状を提出しただけでは成立しないこともあります。そこで、名誉毀損が成立する条件をまとめましたので、警察に相談する前にチェックしておきましょう。
行為が公然のものとなっている
公然とは「世間一般に知れわたっている様子」のことです。一部サービス(有料や会員制など)を除いて、ネット上の口コミや投稿もまた誰でも閲覧できる状態にあるわけですから、公然の行為として名誉毀損の条件に該当します。
行為の内容が社会的な地位・評価を落としている
例えば、「AさんはBさんと不倫している」「Cさんには多額の借金がある」とSNSに投稿するなど、相手の社会的な地位・評価を落とすような行為です。これは内容の真偽に関係がなく、本当のことであったとしても条件に該当します。
行為の対象が特定されている
ネットでの誹謗中傷では対象を特定できるかもポイントです。投稿内容に「Aさん」と名前があるものはもちろん、「現職の総理大臣」「D市長」のように誰もが対象を特定できるようなものも名誉毀損の条件として該当します。
3.ネットの警察に相談する前にできる対策
ネットでの誹謗中傷に限らず、先述した条件に当てはまっていれば名誉毀損として警察に相談できます。しかし、必ずしも被害を食い止められるわけではないため、これから紹介するような対策を警察に相談する前からとることが大切です。
投稿等の証拠を残しておく
ネット上の口コミや投稿はあくまで「データ(形のないもの)」です。
たとえ誹謗中傷されて被害を被ったとしても、警察に相談したときに相手が投稿内容を削除していたら証拠を提示できません。あまり気分のいいものではないですが、投稿等の内容は写真に撮るなどして証拠を残しておきましょう。
投稿の削除申請をしておく
ネット上の誹謗中傷は放置していると拡散される可能性があります。
警察に相談して削除してもらうのもいいですが、個人でもサイトの運営者に直接連絡を取れば投稿等の削除依頼は可能です。また、手続きなどで分からないことがあるときは、弁護士に相談して代理で動いてもらうこともできます。
4.まとめ
ネット上の誹謗中傷により社会的な地位・評価を落とされたときは、迷わず「警察」に相談しましょう。
ひと昔前であればまだネットに詳しい捜査官がいなくて対処の難しいことも多かったのですが、最近ではサイバー犯罪専門の部署もありネットの誹謗中傷、名誉毀損にも比較的迅速に対応してくれます。
ただし、名誉毀損で告訴するには「証拠」の他にも行為が公然のものであったり、対象が特定されるものであったりと条件があるので注意が必要です。
ぜひ、誹謗中傷には毅然とした態度で対処し、警察に相談しながら自身の権利を守ってください。