SNSでの誹謗中傷は刑事罰に問える?被害にあったときの対応策
FacebookやInstagram、Twitterなどの「SNS」はとても便利な反面、誹謗中傷の被害にあってしまうリスクがあります。さらに、誰でも気軽に情報を拡散できることから、誹謗中傷の内容が拡散されることも珍しくありません。
では、もし自身がSNSでの誹謗中傷の被害にあったとしたらどう対処すればいいのでしょうか?
今回は、SNSでの誹謗中傷がいかに恐ろしいものなのか、被害にあったとして相手を刑事罰に問えるのかどうかをご説明しましょう。また、被害にあったときにまずしておきたい対処にも触れていますので、参考にしてみてください。
1.SNSでの誹謗中傷は被害が拡大しやすい
ネットとは異なり、SNSでは少なくとも「アカウント名」など情報の一部が公開されていますが、それでもなお誹謗中傷の被害は数え切れないほどあります。では、SNSでの誹謗中傷はなぜ被害が拡大しやすいのか理由をご説明しましょう。
SNSは家族・友人とつながっていることが多い
FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSはネットの投稿ページとは異なり、家族や友人とつながっていることが多いです。その為、誰かから誹謗中傷されたとき、投稿内容がつながっている家族や友人にもすぐ広がってしまいます。
さらに、SNSの多くでは自身のページを公開する範囲の設定が可能なのですが、ほとんどの人がこの設定をしていません。世界中の誰からでも誹謗中傷できる上に、知られたくない家族や友人にこそ1番に伝わってしまう状態なのです。
SNSを通じて全世界に拡散するケースもある
SNSの恐ろしいところは設定していないと世界中の誰でも投稿を閲覧し、さらに拡散できることにあります。つまり、誹謗中傷の内容に興味をもった第三者が、勝手にその投稿内容を世界中に拡散してしまう可能性があるのです。
実際、これまでにも世界中でこうした拡散騒動、いわゆる「炎上」が起こっています。中には、たった1件の誹謗中傷が世界的に広まってしまい、会社を辞めざるをえない状況にまで追い込まれてしまった事例もあるほどです。
2.SNSでの誹謗中傷は刑事罰に問えるのか?
相手やその周りの多くは気軽な気持ちで投稿したり拡散します。しかし、誹謗中傷による被害は甚大なものになることもあり、被害者側としては決して見過ごせません。では、SNSの誹謗中傷が刑事罰に問えるのかお答えしましょう。
家族・友人間でも刑事罰に問えることがある
SNSの誹謗中傷ですが、被害者は相手(投稿者)やその周り(拡散者)を刑事罰に問えることがあります。
「SNSは限られた空間での話だから、誹謗中傷しても刑事罰は無理」「できても民事訴訟まででしょ」という話を聞くかもしれませんがこれは間違いで、たとえ家族や友人間の限られたSNSであっても刑事罰としては同じことです。
また、刑事罰と民事訴訟はまた別のものなので、相手を刑事罰に問いながら民事訴訟で損害賠償の請求もできます。
SNSの誹謗中傷で考えられる刑事罰の種類
SNSでの誹謗中傷は刑事罰に問える可能性があるとのことでしたが、主に5つの刑事罰が考えられます。
- 名誉毀損罪…被害者の社会的な地位・信用を低下させるような書き込みに対しての罪
- 侮辱罪…抽象的(具体的な事実がなく)に被害者を侮辱したことに対しての罪
- 脅迫罪…被害者の生命や身体、財産などに害を与えるような言動に対しての罪
- 信用毀損及び営業妨害罪…企業や商店などの売り上げを下げるような言動に対しての罪
SNSでの誹謗中傷の多くは名誉毀損罪に該当し、場合によっては「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」となります。また、脅迫罪でも「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」などどれも軽くない刑事罰です。
誹謗中傷では相手をこうした刑事罰に問えることを知っておくと同時に、自身の投稿によって相手を誹謗中傷してしまったときには同様の刑事罰に問われる可能性があることも自覚して十分に注意する必要があります。
3.SNSで誹謗中傷されたときの3つの対応策
SNSで誹謗中傷されるとつい興奮してしまい、相手とやりあってしまうことがありますが誹謗中傷がエスカレートする原因ですのでおすすめできません。では、SNSの誹謗中傷に対してどのように対策すべきなのかをご説明しましょう。
誹謗中傷されたときの証拠を残しておく
大抵のSNSは投稿者であれば自身の投稿内容を自由に編集・削除できます。つまり、SNSで誹謗中傷されたからと警察に訴えようとしても、相手が投稿内容を編集・削除してしまっていれば証拠を提示できないのです。
ですので、SNSで誹謗中傷されたときにはスマホの「スクリーンショット機能」などを利用して、投稿内容をそのまま撮影・保存しておくことが大切です。これなら後から警察に訴えたときにも証拠として提出できます。
※iOSでは「ホームボタン」と「電源ボタン」の同時押し、Androidでは「電源ボタン」の長押しから「スクリーンショット」を選択することで表示されている画面をそのまま写真として保存できます。
使用しているSNSの利用規約を確認する
FacebookやInstagram、Twitterを始めとしたSNSの多くでは利用規約において「プライバシー侵害」や「誹謗中傷」などの投稿を禁止しています。世界的にもSNSの誹謗中傷は問題になっているだけに当然の処置でしょう。
その為、SNSで誹謗中傷の被害を受けたときには、利用規約を確認して運営側に投稿内容の「削除依頼」をしてください。あくまで証拠を残してからですが、投稿内容を削除してもらうことで以降の拡散を防げることがあります。
弁護士や警察に相談して法的手段を取る
「SNSは秘匿性が高いから、相手を特定するなんて無理でしょ」と言う人もいますが、実はSNSのアカウントから個人の特定はできます。ただ、運営側や裁判所とのやり取りなど面倒な手続きがあるため自身で進めることは大変です。
そこで、SNSでの誹謗中傷で相手に制裁を加えたいときには、民事訴訟であれば弁護士、刑事告訴であれば警察に相談してください。きちんと証拠を残しておけば対応してくれますし、自身で進めるよりも重い制裁を加えられます。
4.まとめ
SNSの誹謗中傷では投稿内容が家族や友人の目に触れるだけでなく、世界に拡散される可能性さえあります。
誹謗中傷を受ければ誰でも興奮するのは分かりますがそこは冷静に、証拠を確保して弁護士や警察に相談しましょう。名誉毀損罪や侮辱罪などの刑事罰に問えるだけでなく、民事訴訟により損害賠償を請求できることもあります。
ぜひ、SNSで誹謗中傷されたときには紹介した3つの対策を意識して、毅然とした態度で対応してください。