誹謗中傷とは?そもそも誹謗と中傷は別の言葉!
インターネット社会になった現在、「誹謗中傷」という言葉をよく使われますよね。
そこで、誹謗中傷とは何なのか具体的に理解しているでしょうか?
まず、誹謗中傷は立派な「犯罪」。ケースによって名誉毀損や侮辱罪、信用毀損罪や業務妨害などの罪に問われます。SNSに軽い気持ちで誹謗中傷になる言葉を発信してしまうと、罪に問われてしまうこともあり得るのです。
「誹謗中傷」を四字熟語だと思っている方も少なくないと思いますが、実は「誹謗」と「中傷」は別々の意味を持つ言葉なのです。
ということで今回は、「誹謗中傷」とは?をテーマにして、誹謗と中傷の意味やどんなケースが誹謗中傷になるのかご説明いたします。
1.誹謗中傷とは?「誹謗」と「中傷」は別々の言葉
「誹謗中傷」といえば以前は印刷物(ビラなど)や怪文書といった文書が一般的でした。
それが今では、TwitterやInstagramといったSNSが急速に普及したことで、インターネットを経由した誹謗中傷が主流になっています。
そこで、先程もお話ししましたが、「誹謗中傷」を四字熟語だと認識している方は少なくないでしょう。
ニュース記事などでは誹謗中傷として紹介しているので、そのような言葉があると思いますよね。
しかし、そもそも「誹謗」と「中傷」は別々の意味を持っている単独の言葉なのです。その違いは以下の通りになります。
誹謗:根拠のない悪口で他人を罵(ののし)る、名誉を汚す・貶(おとし)める
中傷:根拠のない悪口をいったり嫌がらせしたりする
このようにほとんど同じ意味を持っていることから、現在では「誹謗」と「中傷」はセットで「誹謗中傷」として使われています。
つまり、誹謗中傷は「根拠のない悪口や嫌がらせで相手の名誉を汚すこと」を表現する言葉として使用されるようになったのです。
ちなみに、「相手を中傷する」と中傷だけで使われるケースは多くありますが、「相手を誹謗する」とは言いませんよね。
2.どんなケースが誹謗中傷になってどんな罪に問われるのか?
誹謗中傷は『根拠のない悪口や嫌がらせで他人の名誉を汚す行為』ですが、どんなものが誹謗中傷になるのか?その分かれ目が難しいですよね。
どんなケースが誹謗中傷になるのか?
まず誹謗中傷になるのかは、書かれている内容が真実なのかどうかが分かれ目。
真実をそのまま伝えている分には何の問題もありません。しかし、真実とは異なる根拠のない悪口を言うのは誹謗中傷になってしまいます。
ただし真実を伝えていても、相手を侮辱するような書き方をしていると「侮辱罪」として罪に問われてしまいます。
また、個人と個人の悪口の言い合いは単なる喧嘩ですが、”公共の場”で行われる行為は誹謗中傷になります。
以前は他人の名誉を汚すようなビラを撒いたり怪文書を方々に送ったりしていましたが、現在はインターネットを中心に誹謗中傷が公然と行われています。インターネットは不特定多数の人が閲覧するので、公共の場の最たるものです。
特にSNSは社会問題になっていますよね。
TwitterやFacebook、Instagramなど若者を中心に広く使われていますが、軽い気持ちで他人の悪口を書き込んだりしています。
最近でもニュースに取り上げられていますが、残念なことに「いじめ」の道具としSNSが使われています。
つまり、インターネットなど不特定多数の人が閲覧する公共の場に”悪口”を書き込んで名誉を汚す行為が誹謗中傷になるのです。
誹謗中傷するとどんな罪に問われるのか?
誹謗中傷をした人はどんな罪に問われるのか?
インターネットや大勢の人がいる場所で、他人の名誉を汚すような悪口を言ったり、発信したりするのは立派な犯罪になります。
犯罪となれば刑事責任が問われ、誹謗中傷した人にはケースによって違いはもちろんありますが以下の刑罰が科せられます。
➀名誉毀損罪
誹謗中傷は「名誉毀損罪」に該当し、刑法二百三十条では『3年以下の懲役もしくは、禁錮または50万円以下の罰金が科せられる』と定められています。
しかし名誉棄損の判断は難しく、名誉毀損罪が成立する要件は確認する必要があります。
➁侮辱罪
侮辱罪は、同じ刑法第231条で「事実を摘示しなくても公然と人を侮辱したものは、拘留または科料に処する」と定められています。
SNSの書き込みなどインターネット上で他人を侮辱するような言葉を発信すると侮辱罪が成立し法的責任が発生します。
簡単には、名誉棄損のように他人の名誉を汚した社会的な地位を低下させる行為ではなく、簡単には「あいつは馬鹿野郎だ!」など相手を侮辱する行為が侮辱罪になります。
➂信用毀損罪および業務妨害罪
信用毀損罪および業務妨害罪は、刑法233条「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
例えば、「あの店の商品はまずい」などお店の信用を毀損して売り上げを低下してしまうような行為にあたり、その行為によって業務に支障をきたしてしまえば業務妨害となり法的責任が科せられます。
以上、誹謗中傷した人に科せられる刑事罰則は大きくこの3つになり、いずれもケースによっては3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
名誉棄損などより詳しく知りたい方は、
「名誉毀損で逮捕されるケース|刑事事件弁護士ナビ
(https://keiji-pro.com/columns/98/#toc_anchor-1-13-1)」
で詳しく書かれているので参考にご覧ください。
3.まとめ
誹謗中傷とは?についてお話してきましたが、「誹謗」と「中傷」が別々の言葉だと知らなかった方も多いのではないでしょうか。
誹謗:根拠のない悪口で他人を罵(ののし)る、名誉を汚す・貶(おとし)める
中傷:根拠のない悪口をいったり嫌がらせしたりする
この2つの言葉がセットで利用され、根拠のない悪口や嫌がらせで相手の名誉を汚す行為が誹謗中傷になります。
現在はSNSなどインターネットで簡単に情報が発信できる時代になり、知らずに相手の悪口などを発信してしまうと、名誉棄損罪や侮辱罪といった刑事罰則が科せられる危険があるのです。
インターネットなど不特定多数の人が閲覧する公共の場に”悪口”を書き込んで名誉を汚す行為が誹謗中傷になるので注意しておきましょう。